「てぶら de ポエム~尹東柱の世界」
今週末はイベントが続きました。ご案内していました「てぶらdeポエム~尹東柱の世界」が先週土曜日(3/12)の午後開催されました。
尹東柱の詩を広く一般の方々にも知ってもらいたいという「尹東柱の詩を読む会」のメンバーの方が中心となって企画 した読書会。初めてご参加の方もいらっしゃいましたが、会は和やかな雰囲気で、自由に心が感じるままに詩人の詩を味わっていました。 今回のテーマは尹東柱の「はる」という詩。
はる『空と風と星と詩 尹東柱全詩集』(伊吹郷訳 影書房)
うちのあかちゃんは
へやのすみで すやすや、
ねこは
かまどで ごろごろ、
そよかぜが
きのえだに さやさや、
おひさまが
なかぞらで きらきら。
1936年10月に書かれたというこの詩。この詩の第一印象は各連の情景が映像として浮かんで、静かで「平和」な日常の風景。擬態語が効果的に「映像化」を助けてくれていると思いました。
この詩が書かれた時代のバックグラウンドとしては、戦時中の日本の植民地統治下という過酷な時代。また「1936年の崇実中学校の廃校と親日系光明中学での日々は、詩人にとってはどん底の日々」と聞きました。角も苦しく、つらく、逃げ場もない現実を生きなければならないなか、何気ない日常の風景の中に安らぎを見出し、平和を祈ったのでしょうか。
詩を味わうとはただ「言葉ずら」を追うことではなく、それぞれの詩人がどういう時代にどういう環境のもとに生きたかを知ることで「言葉」に込められた意味であるとか、思いを味わうことができるのだろうと思います。
1994年から毎月、尹東柱の詩を読み解いてきたという「福岡・尹東柱の詩を読む会」。これからも勉強会とともに、多くの人に尹東柱の詩にふれるチャンスをつくる「てぶら de ポエム」の活動を応援していきたいと思います。