三度目の正直
ミルキーのことは以前書きましたが、3年前に生まれた子猫5匹のうち、すぐに2匹は里親さんが見つかりのですが、残りの3匹は2014年夏、実家の解体に伴い、不本意ながら野良ちゃんとして生きていかねばならなくなりました。ミルキーは女の子で、遠くに行くこともなく、新しいマンションができるとやっぱり身ひとつでそちらの庭先に引っ越してきました。他2匹はオス猫のカブとタイゾー。実家の解体後、どこかに雲隠れをしては、戻ってきたりを繰り返していましたが、しばらくすると2匹とも姿が見えなくなりました。ところが、カブは新しいマンションができるやいなや、たまに姿を見せるようになったのです。本当によく場所を覚えているものですね。すっかり以前の建物、佇まいも変わってしまったのに・・・。ただ、ごはんを食べると、またどこかへ。決して居座ることはありませんでした。時々、車の中から、通りを歩いているカブを見かけたこともありましたが、そのうち餌を食べにくることもなくなりました。
オス猫はメス猫を求めてかなり遠くまで行ってしまうと聞いているので、やっぱりもう戻ってこないのかな・・・、ちゃんと逞しく生きてるだろうか・・・などと心配しながら、毎日が過ぎて行きました。
そのカブが今年(2016年)の5月初め、久しぶりに帰ってきました。姿を見なくなって、約半年ぶりではなかったでしょうか。正直、もしかしたら、もう生きてはいないかもしれないという思いが頭をよぎることも。久しぶりに帰ってきたカブは見るも無残にやせ細り、首から背中あたりまで毛が抜けおち、今にも死にそうな姿になっていました。それでも嬉しかったのは、私のことを覚えているようで、近づいても逃げたりしませんでした。とにかく、おなかいっぱい食べさせなきゃ。
毛は抜けてるし、眼やにはついているし、時には鼻くそもついているボロボロのカブは人からみたら、恐ろしくて近寄れないような姿をしていましたが、私にはとても愛らしく、毎日彼の身体を拭いてあげました。顔を拭いてあげると、特に気持ちいいのか、ゴロゴロとノドを鳴らし、目を細めていかにも嬉しそう。よほど居心地良さを感じたか、それから遠出をすることがなくなり、ミルキーの「煉瓦の館」をとうとう乗っ取ってしまう始末。ミルキーは突然帰ってきた兄貴(?)のカブをまるで「フーテンの寅さん」を見るがごとく、時には叱りとばしていました。
本当に面白いもので、それからカブはほとんどを 庭内で過ごすようになりました。「なんか、アンタ一気にじーさんになったごたーね」などとほほえましく介護、いえいえお世話をしていました(カブはまだ3才)。背骨の形がわかるほどやせ衰えて帰ってきたカブは、夏が過ぎるころにはその体重を増やし、男の子らしいしっかりとした体型に戻っていました。カフェに来られる猫好きのお客様からも「わぁ、見違えるくらいキレイになったね!」と言われるほどです。でも10月に入ってちょっと寒くなると、早々風邪をこじらせ、クシャミと鼻水で顔は毎朝グジャグジャ。洟垂れ小僧になっていました。
それで風邪薬を少しずつ餌に混ぜて与えてやると、なんだか苦い顔をしながらも、餌を毎日元気よく食べ、風邪の症状も少しずつ治まっていきました。
そのカブが11月25日の夜を最後にまた姿をくらましました。その日は朝から湯たんぽの入った「第2の館」に入ったきりで、餌も食べてくれませんでした。昼間もずっと館の中で寝てました。「具合悪いの?」と声をかけ、時々様子を見ていました。辺りが真っ暗になり、夕方の餌の時間になって、漸く館から出てきて、餌を食べたので、その時は安心したのですが、嫌な予感というものは当たるものですね。翌日の朝には姿がなくなったのです。1日経ち、2日経ち・・・、カブに会えなくなって今日で5日。寂しい・・・。元気になってからは朝、時々駐車場近くまで迎えに来てくれることもあったのに。名前を呼んだら、嬉しそうにひょこひょこ走ってきていた姿を思い出します。元気になって突然発情しちゃったのであれば、いいのですが、具合が悪くて姿を隠したのかもしれないと思うとなんだかとても切なくて。
ミルキーがいなくなった(足を怪我してどこかで静養していた後、戻ってきた)時、自宅で飼っているフゥフゥが家を飛び出した(3日後、近所で見つけた)時、ブログに彼らのことを綴ったら、帰ってきたので、三度目の正直でカブのことを思いながら、書きました。きっと元気で戻ってきますように・・・。(あまり写真写りの良い子でなかったので、あまり写真がないのが残念!)